こんにちは、まるなか(@marunakafish)です。
さてさて、今回は魚のお話をしていこうかなと。
今日のテーマは「腹いっぱいに餌を食べている魚は脂が乗っているのか?」というテーマについて、魚屋に勤務して毎日鮮魚を扱ってきた経験を基に解説します。
結構面白いこのテーマ、魚屋流の考え方を紹介していきましょう!
単に餌をたくさん食べても脂が乗るとは限らない
餌を沢山食っていても脂とは関係なし
魚釣りをやる方の場合、釣れた魚の口から捕食した餌が出てきたり、おなかがポッコリしていると、美味しい魚が釣れたと思うことも多いはず。
しかし実際には、釣られたタイミングで餌をたくさん食べていたという事実と、脂の乗りは関係ないことの方が多い。
重要なのは普段の餌の食い方やその質になり、胃に餌がたくさん入っているのと肥えて脂があることは別問題。
重要なのは餌の量よりも質
魚の脂の乗りを大きく左右するのは、普段食べている餌の量よりも「餌の質」になる。
魚の場合はそもそも脂が乗りやすい「旬」と呼ばれるものもあるが、旬を外していても脂が乗っている魚が取れる地域もある(魚に脂が乗りやすくなる要素は複数ある)。
こういう地域の場合はその海域に住んでいるプランクトンに脂分が多く、それを食うイワシなどの小魚も脂が乗る。
そして、その小魚を食う大型魚も脂が乗るというサイクルが出来ていることが多いらしい。
脂が乗っていることが多い養殖魚の場合も、餌の量や運動不足などの要素もあるが、餌に脂分を混ぜたものを与えているという要因が大きい。
つまり、単純に餌を沢山食っても脂が乗っているとは限らず、それよりも「脂が乗った餌をどれくらい食っているのか?」ということが重要ってわけだね。
まるなか
餌を食っている魚は嫌われる
釣り好きの方の場合は餌を食っていて腹が出ている魚を釣り上げると、コンディションが良くて嬉しいもの。
しかし、魚屋的には餌を食っている魚を嫌うこともある。
腹が薄くなる
餌を食って腹がパンパンになっている魚のことを「餌食い」といい、大きく膨らんだ胃によって腹回りの肉が薄くなっていることがある(呼び方は地域によって違うかも)。
私の職場の場合は、特にサバやブリなどに餌食いの個体が見られることが多かったんだけど、脂が乗りやすい腹の部分が薄くなっているのを嫌う料理屋さんの方は結構いた。
なので同じような体型の魚の場合は、餌が胃にあまり入っていない方を選ぶ方も多い。
鮮度が落ちやすい
鮮度がいい魚を食べられる釣り人の方の場合はあまり気にならないが、餌食いの魚は鮮度の低下が目立ちやすい。
胃の中に入った内容物は、時間が経つとドロドロになっていく。
これによって胃が空っぽの魚よりも腹回りの肉が柔らかくなったり、腹の皮が解けたりする現象が早く進みやすい。
これは特にサバやアジ・カツオなどの青魚でよく見られる現象だね。
肥えている魚と餌食いの魚の違い
最初は餌を食っている魚を太っていて肥えている魚だと安直に判断しがちだけど、実際は別物。
慣れてくると見分けができるようになるし、魚屋さんで美味しい魚を目利きする時にも役立つはずだ。
体の厚みを見る
餌食いの魚は腹が出ているだけで、体の厚みが薄かったりする。
これは非常に良く肥えたブリ(確か13kg・15kgくらいだったかな)。
体の側面がパンパンに膨らんでいて、厚みが半端ないのが分かる。
こういう個体は餌を食って太っているように見えるだけでなく、肥えているパターンの典型的な例。
ブリに限らず、良く肥えた魚は体に厚みが出てくるので、魚を選ぶ時は腹の出方ではなく肉厚感を見ると良い。
体のラインを見る
これはちょっと難易度が高くなるが、魚を見続けていると1目見ただけで何となくの良し悪しが判断できるようになる。
体の厚みとともに、尻尾から背・腹にかけてのラインが肥えた魚と餌食いの魚では微妙に異なってくる。
これは私が釣った瀬付きのアジで、ピンクで線を引いてある辺りの膨らみ具合が非常に良い。
腹は出ていないが、このような個体は非常に身質が良くてアタリの魚だね。
このくらいの質のアジの場合、1キロ4000~5000円前後の値で買う料理屋さんも普通に居る。
また、顔の大きさが体に対して小さい個体は餌を食うのが上手で、質が良い魚が多い傾向があるように思える。
ちなみに、こちらは通常版のアジ。
さっきのアジと比べると、違いが分かるかな?
実際の値段も大きく変わってくる。
まるなか
腹の厚みを見る
脂が乗っていない餌っ食いの魚は胃に内容物がたっぷり入っており、腹回りの肉が薄くなっている傾向がある。
これを見極める方法の1つとしては、魚の腹を両サイドから軽く押してみる方法。
活きている魚の場合は弾力があるので少し分かりにくいことも多いが、お店の鮮魚コーナーで並んでいる魚を見分ける時に有効なテクニック。
特に脂が乗っているサバやアジなどは腹周りの肉が厚い傾向が顕著で、内臓の割合が少ないものが多い。
腹を指で押した時に腹の肉の壁が厚く、しっかりした弾力があるものを選ぶと良い。
まるなか
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まるなか様
いつもブログを楽しみにしています。
また、ヒラメやシーバスについて色々教えていただいてありがとうございます。
今回は釣った魚を美味しく持ち帰る方法を教えて頂ければと思います。
いつも朝方にヒラメや青物を釣った後に、ズトリンガーやスカリに入れて置き、絞めてから持ち帰っていますが、身を捌いてみると、青物は臭いがあったり、水っぽかったりします。
個体差なのか、運搬時の氷が少ないのか、潮氷にするべきなのか…
朝イチに釣れたのを昼まで釣りしていることも多いので、長期間、海水に浸けることもあります。
上手に持って帰って美味しく食べるコツを教えてください。どうぞよろしくお願いいたします。
ストリンガーなどで活かしておくと魚へのストレスが半端無いと思うので、クーラーボックスにペットボトルを凍らせておいたものを持って行き、魚が釣れた時は海水を入れて氷温の海水を作り、すぐに締めた魚を入れた方がいいと思います。
私の場合、釣った魚をストリンガーなどで活かしておくことは絶対にしないですね。