さてさて、今回もノットの話を少し。
PEライン同士の結び方は電車結びで良いのか?
という質問を受けたので、この機会に結束強度を実測してみた。
PEライン同士を接続する場面として最も多いのは
- リールの下巻きにPEラインを使った際のメインライン用のPEとの接続
- キス釣りの時の力糸との接続
- 船釣りにおけるPEラインが足りない時の補充として
こんな場面が多いんじゃないかと思う。
PEライン同士の接続というと何となく強度が落ちるような気がするんだけど、実際の強度を気に掛けたことが無いので見当もつかないというのが本音だ。
今回は意外な結果も明らかになったので、PEライン同士の接続に電車結びを使おうと検討中の方はちょっと目を通してみてね。
電車結びでPEライン同士をガッチリ結ぶのは意外と難しかった
今回は滑らかな8本撚りのPEラインの1号、直線強度約9kgのアイテムを使用。
何回くらい巻き付けをすればPEライン同士がガッチリ結べるのかもわからないので、まずは5回ずつの巻き付けで強度を測定
すると・・・
2キロを少し超える負荷が掛かったところで、スルスルと結束が滑ってすっぽ抜け。
どうやら5回の巻き付けでは滑りを止める程の摩擦が発生していないようだ。
巻き付け回数8回の電車結びで強度を測定
次に、巻き付け回数を5回から8回へと増加。さすがに8回くらい巻き付けを行えば良いんじゃないかな?
結果は・・・・
若干強度は増したが2.3キロほどの負荷が掛かったところでまたしてもすっぽ抜け現象が。
この2キロ以上の強度というのが厄介で、キュキュッと締め込んだくらいではすっぽ抜けたりしないんだよね。
力を込めてジワジワ引っ張っていくと、初めはガッチリ止まっている感覚があるのにある程度の所で滑り出して抜けてしまう感触だ。
今回は滑りの良い8本編みのPEラインを使ってはいるが、電車結びでPEライン同士を結ぶのは予想以上に強い摩擦が要るのかもしれない。
PEライン同士の結束には、10回以上の巻き付けが必要
8回の電車結びでも正しい結束強度の計測が出来ず・・・・。
次に、巻き付け回数を更に増やして10回へ。段々締め込むのが難しくなってきたが、丁寧に締め込めばまだ何とかなるレベルではある。
結果は・・・
- 約3.9kg
- 約4.2kg
- 約4.15kg
3回の計測結果はこのようになり、ここにきてすっぽ抜けることなくラインがブチっと切れるようになった。
3回の平均値は約4.08kg、結束強度は約45%という数値に。
やはりPEライン同士の結び方として、電車結びを使うとこの位の強度になってしまうのかな?
巻き付け回数を増やせば強度は増すのか?
とりあえず10回の巻き付けで45%程の強度が計測されたが、もっと巻き付け回数を増やせば強度が上がる可能性もある。
そこで、最後に巻き付け回数13回の電車結びでPEライン同士を結束。
流石に13回の巻き付けを行うと、締め込みがかなり大変だね(-_-;)
丁寧に締め込み、3回の計測を行うと・・・・
- 約3.3kg
- 約4.3kg
- 約3.8kg
という計測結果が出た。平均値は約3.8kg、結束強度は約42%になる。
強度的には大きな差は無いが、数値にムラが出始めているのが分かる。
締め込むのがかなり大変になるので、その時の摩擦でPEラインの原糸に傷が入ったりしていることが考えられる。
まとめ!
PEライン同士の結束を電車結びで行うのであれば、今回の実験からは10回ほど巻き付けを行えばOKという結果になった。
なお、強度としては大体45%前後になり、ナイロンやフロロカーボンラインを使った電車結びよりも明らかに強度が落ちた。
巻き付け回数に関しては、5回などの少なめの巻き付けであってもすぐにすっぽ抜けるわけではなくて、ある程度負荷を掛けた所でノットが滑り始める。
だから一見すればカチッと結びが決まっているように見えても、実際は摩擦不足になっていることがあるから要注意だ!
今回は8本編みの滑りやすいPEラインを使っているので、ザラッとした4本編みのPEラインならもう少し巻き付け回数は少なくても良いのかもしれない。
使うPEラインにより、微妙な巻き数の調整はした方が良いだろう。
加えて、巻き付けは必要以上に回数を増やしても強度が増すわけではなく、むしろ締め込み時の摩擦によってラインがダメージを受けている可能性も明らかになったね。
摩擦がしっかり出てすっぽ抜けないのであれば、出来るだけ少ない巻き付けでラインにダメージを与えず、スムーズに締め込む方が安定して結束強度を引き出すことが出来そうだ。
この50%弱の結束強度をどう見るのか?
PEライン同士を電車結びで結束する時は、使いどころを選ぶ必要がありそうだね。
それでは、今回はこの辺で。また明日会いましょう!