さて、今回は渓流のルアー釣りにおけるルアーアクションのパターンや使い分けについて。基本となる動かし方や、その組み合わせ方等を紹介していく。
渓流のルアー釣りはナチュラルな食わせの釣りからリアクションを狙った釣り方まで、色んな誘いのパターンが存在している。
同じルアーをキャストするにしても、アクション方法を変えれば魚の反応も変わってくるという事は非常に多い。
状況に応じたルアーアクションの基本を知り、狙い通りにトラウトをキャッチできるための基本を身に付けていこう。
渓流トラウトに使うアクションのパターン
まずはどのようなアクションを使う事が多いのか?
基本となるパターンを紹介していこう。
- トゥイッチング:手首を使い、穂先をリズミカルに動かしてルアーに不規則なアクションを与える。最も基本となる誘いのパターン
- ジャーキング:トゥイッチングよりも強い力をルアーに与え、ルアーを左右にダートさせたりする
- ドリフト:ルアーを流し、低活性のトラウトに口を使わせる
- リフト&フォール:水深が深い場所などにいるトラウトに対し、縦の誘いでアピールする
- シェイキング:同じレンジをスローに引いたり、ドリフトと組み合わせて使う。速い動きに食って来ないトラウトに良く効く
アクションのパターンをまとめてみると、基本的にはこんな感じかな。難しいように見えるかもしれないけど、これらの誘いのパターンを組み合わせるのが大切。
魚の活性に合わせ、反応がいいパターンを見つけて行くのが釣果アップへつながるぞ。
トゥイッチング
ミノーを使うなら、最も多用するアクションになることが多いのがトゥイッチング。手首を素早く・テンポよく動かすことでミノーにヒラウチをさせたり、不規則な動きを作り出すことで食わせるのが狙いだ。
人によってやり方は異なるけど、私の場合は2回~5回ほど連続でルアーにアクションを与え、その後ポーズを入れて食わせの間を作ることが多いかな。
まずはトゥイッチングをする際の注意点を挙げておこう。
- ただやみくもに連続でトゥイッチするのではなく、ただ巻きやポーズを入れて食わせるタイミングを作る
- トゥイッチが弱すぎると、トラウトがバイトして来た時にフッキングし難くなる。アクションを与える際はラインテンションをある程度掛けてあげる事
- 糸フケが出ているとルアーが動いていないことがある。アップストリームで探る時はラインのコントロールをしっかりやる事
変化を出して食わせのきっかけを作ろう
トゥイッチングはイワナやヤマメなどが特に反応が良いことが多いが、ただやみくもにアクションを与えても食い切らないことも多い。そういう時は、ルアーの動きに変化を出すことが大切。
水中に沈んだ岩や反転流などといったトラウトが潜みそうなポイントがあるのなら、その周辺でトゥイッチのテンポを速くしたり、遅くしたり。または美味しいポイントまではただ巻きでアピールし、ここというピンスポットでトゥイッチを入れたり。
また、トゥイッチングはポーズを入れるのがかなり重要で、ポーズを入れた瞬間にバイトが出たり、ポーズからルアーが動き出した瞬間に当たってくることも非常に多い。
ポーズの長さはほんの一瞬~1秒、2秒とある程度の時間を入れることもある。この辺りを少しずつ調整しつつ、どんな誘いに反応が良いのかを見つけながら釣りをしていこう。
ラインテンションとルアーへの力の伝わり方を気にする
特にルアーを上流に向かってキャストするアップストリームで釣っていく場合、リールを巻くのが遅すぎたり、ロッドアクションが弱すぎるとルアーがしっかり踊っていない事がある。
そうなるとトラウトを引き寄せる力も弱くなってバイトが減るし、バイトして来た時にもしっかりフックが貫通しないことが増えてしまう。
トゥイッチングでは、そのアクションが合わせになることも多く、ある程度ルアーに力を与えてあげないとバイトして来たトラウトにフックをしっかり貫通させることができない。
始めのうちは見やすい色のルアーやラインを使い、どのくらいの流れならどのくらいの強さでアクションを与え、リールを巻く速度はどれくらいにしたらいい具合にルアーが動くのか?
しっかり確認しながら感覚を覚えるようにすると良いぞ。
ジャーキング
主にヘビーウエイトのミノーを左右に大きくダートさせたり、ボトムダート系のルアーを操作する時に使うのがジャーキング。トゥイッチング同じく、ロッドを煽ることでルアーにアクションを与える釣り方。
アクションの回数もトゥイッチと似たような感じで数回連続で行い、その後ポーズなどを組み合わせて使う事が多い。
トゥイッチングとの違いについてはアクションの大きさやルアーの見せ方が異なる。ジャーキングの場合は手首だけでなく、強くルアーを動かしたいときは肘から下も動かして行う。
簡単なイメージとしてはトゥイッチングはルアーに追尾してきたり、ルアーのすぐ近くにいる魚を不規則な動きで食わせるイメージ。ジャーキングはルアーを力強くダートさせたり、ヒラウチをさせることによって
魚をルアーに気付かせ、離れた場所にいる魚を引っ張ってくるような感じかな。
ジャーキングはスローなアクションにトラウトが反応しない時や、水が濁っていて魚の視界が悪い時などに使うと効果的なことが多い。特に水が少し濁っているような状況下では、魚自体の活性は高くてもルアーを発見することが困難な時がある。こういう時は、少し強めにルアーをジャークすることで魚にルアーを発見させ、効率よくバイトに持ち込める場面も多い。
ジャーキングを使う際の注意点については、トゥイッチングと基本的には同じだ。
ドリフト
岸際にできた岩影や生い茂った木の下など、ルアーをポイントに流し込むことで魚にバイトさせるときに使うのがドリフト。流れにもまれる弱った餌を演出することもでき、スレた魚に口を使わせるテクニックとしても有効だね。
また、直線的なルアーの動きでは食って来ないようなセレクティブな状況下ではドリフトさせつつU字にルアーを引くことで食わせたりすることが出来る。
ミノーやスプーン、バイブレーションなど様々な種類のルアーでドリフトは使える。
- ドリフトと言ってもラインを自由に出しすぎてはダメ。アワセなどが効かなくなる
- U字にルアーを引くなら、ラインテンションやラインの出方に注意。ラインが直線的なら鋭くU字を描いてターンする。ラインのたるみが大きければU字も大きく、ターンする場所は下流側へとズレる
- ドリフト時はレンジキープが重要。使用するルアーの沈下速度をしっかり選んだり、ドリフト中にシェイキングなどを入れてレンジキープを心掛ける
ラインを自由にさせすぎない
ドリフトだからと言って、ラインを自由にダルンダルンの状態にしてしまってはダメ。トラウトがバイトして来た時にアタリを感知したり、合わせを入れることができる範囲内でルアーに自由を与えてあげる事。
だからラインがたるんできた場合はリールを巻いてラインスラッグの出方をしっかり処理するようにしよう。
U字に引く際はラインの出方を調整しよう
ルアーをドリフトさせつつ引いてくる場合、有効なのがU字引きと呼ばれる方法。流れを横切るようにキャストし、ルアーを流れに乗せつつ巻いてくると
ルアーが流れによって下流側に流され、ある程度流されたところからは自分の立ち位置にあたる上流側に向かって引かれることになる。
ルアーがUの字を描くようにリトリーブする方法がドリフトでは多用されるんだけど、この際はラインのたるみ具合をしっかりコントロールするのが大切!
ラインのたるみが少ない状態でU字引きすると、U字の頂点が自分から離れた遠い地点になり、ルアーの流され具合も小さくなる。
一方でラインを大きく弛ませた場合はその逆で、ルアーは大きくU字を描くことになってルアーも大きく下流側へ流される。
実際の釣り場ではルアーをU字ターンさせる場所を細かく調整していくことで、かなり食い渋った状況下でも魚を引き出せるという事も多い。これは実際にやってみないとわからない部分も多いと思うから、ラインの弛ませ具合などを色々変えつつ、ルアーがどんなコースで流れてくるのかを把握すると良いぞ。
ドリフト時はレンジコントロールを意識しよう
ドリフトはルアーをある程度流して釣るわけだから、ルアーをあまり積極的にアクションさせることはしない。そうなるとルアーの泳層であるレンジをコントロールするのが意外と難しくなったりする。
ドリフトの際は魚の潜むレンジにしっかり合わせないと食って来ないことも多く、流れの強さなどによってルアーの沈下速度などをしっかり合わせて使うのが重要だ。
流れが緩い場所ならスローシンキングのルアーを使い、流れが早い場所ならヘビーシンキングのルアーを使ったり。魚が浮いている時ならフローティングミノーをドリフトさせて使う場合もあるしね。
また、ちょっとルアーが沈みすぎるような場合なら、ルアーをドリフトさせつつシェイキングなどを入れてあげると、ルアーに上方向の力が伝わってルアーが沈下するのをある程度防げる。ただルアーを流すよりも程よくルアーが動くことで誘いになり、トラウトの反応が良くなる場合もある。
リフト&フォール
落ち込みや滝、淵などの水深が有る程度深い場所で使う事が多いリフト&フォール。ロッドを煽ったり、リールを巻くことで浮上させ、その後アクションを止めてルアーを落とし込むのがリフトフォールだ。ミノーやスプーン、バイブレーションなど色んなルアーで使う事が出来るアクション。
リフト&フォールはルアーに縦方向の誘いを入れることで、移動距離を抑えてルアーを魚に見せることが出来るのがメリット。
横方向の動きにはついて来ない低活性の魚に対し、縦方向の誘いを入れるとバイトが出るというパターンは結構あるぞ。また、魚は上から目の前に向かって落ちてくるものに良く反応する習性がある。
- フォール中のバイトを逃さずキャッチする
- フォール時、ラインテンションを緩めすぎるとフックが絡みやすい
- ボトムでポーズする時間も入れみよう
フォール中のバイトに注意
トゥイッチング等のアクションの場合、ルアーが横方向に移動するのでトラウトのバイトも比較的わかりやすいことが多い。しかし、リフトフォールではルアーがフォールしている最中にアタリが出ることが多く、取り逃してしまうこともあるので気を付けよう。
良くあるのが「カツッ」とか「コッ」というような穂先が一瞬入るようなアタリが多く、合わせを入れていかないとフックアップしない場合も多い。状況次第ではガツンと言う手ごたえとともに勝手に掛かってしまうこともあるけど、そういう場面は意外と少ないぞ。
淵などの深い場所には大型のトラウトが潜んでいることが多く、リフトフォールの使い方を覚えると攻略の幅が広がる。
ラインテンションは張らず緩めずが基本
リフトフォールのフォール中、ラインは張らず緩めずの状態をしっかりキープするようにしよう。ラインを張りすぎてしまうと、フォール中のルアーの頭の向きが上方向になり、トラウトに違和感を与えてしまう場合がある。しかし緩めすぎるとフックがラインに絡んでしまうから要注意。
アップストリームキャストでは、ルアーが下流に流されながらフォールしていくことになる。きっちりとラインのたるみ具合を把握し、ラインテンションのコントロールをするように。
ボトムステイを織り交ぜよう
魚はボトムにルアーが付いて止まった状態であってもルアーをしっかり見ている。ただ単にボトムに付いたらすぐリフトするのではなく、あえてボトムにルアーを付けて数秒放置したり。
そうすることで動きに変化が出て、ボトムステイからのリフトでガツンとバイトが出るパターンもある。ルアーがボトムにある時も魚は見ていることを意識しよう。
シェイキング
主に比重が軽めなスローシンキングのミノーを使ったり、スプーンなどを使用する際に使う事が多いアクションがシェイキング。手首を使い、ルアーを震わせるようにして細かく操作する。アクションとしてはトゥイッチングよりも弱く、細かくルアーを動かすことになる。
水深が浅いポイントでもルアーを浮かせ気味にしてゆっくり誘うことが出来たり、スプーンの場合はフラッシングを効果的に出すことが出来てよく釣れるテクニックだ。
他のアクションと組み合わせて魚を誘う
シェイキングだけでも魚は釣れるが、釣りのテンポが悪くなりやすい。
だからただ巻きやドリフトなどと言った他のアクションと組み合わせて使う事が個人的には多いかな。
例えば、スプーンやミノーなどをただ巻きしている際、チェイスが有ったら2~3回くらい素早くシェイキングしたり。そうするとルアーの動きに微妙な変化が出て、トラウトが食ってくるパターンは非常に多い。また、先程紹介したようにドリフト時のルアーが沈みすぎてしまうような時にもシェイキングはかなり有効で、ルアーを浮上させてレンジコントロールをする際に役立つぞ。
瀬などをテンポよく釣っていく際、ただ巻きをメインに探りつつ岩の影などにルアーが入った瞬間にシェイクを入れたりするのも非常に良い誘いになる。
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