こんにちは、まるなか(@marunakafish)です。
さてさて、今回は魚屋が教える美味しい魚の見分け方について。
今日は人によって好き嫌いが分かれやすい「カツオ」について、鮮度や脂・身質の見方を紹介していく。
おはようございます😃
今日は御前崎、神奈川のカツオからスタート。
脂0ですが、味は良かったのでまずまず。
今日もバシバシ捌きます★ pic.twitter.com/9j80gVtjAr— まるなか (@marunakafish) June 21, 2020
私自身魚屋に勤務していて近海物の捌きを担当しているので、カツオは入荷があれば毎日捌き、実際に味を見て料理屋さんの方に販売している経験がある。
当然のことながら不味い魚を料理屋さんに出すわけにはいかないので、カツオの目利きもできるようになるわけで。
カツオは魚の中でも個体差による味の違いが大きく、不味いものはメッチャ不味い・・・・。
しかし、アタリの個体は非常に旨味が強く、私自身数ある魚の中でも「好きな魚ランキング」の上位にランクインするのは間違いない。
スーパーや鮮魚店でカツオの目利きをする時の参考になったらうれしく思う。
カツオの鮮度の見方
まずはカツオの鮮度について、見方・チェックポイントを紹介していこう。
「カツオは臭い」はモノが悪いだけ
カツオ嫌いな方に多いのが、「カツオは生臭い・薬味がないと食べられない」というもの。
私も以前カツオはあまり好きではなかったんだけど、魚を毎日捌いて「良い個体」に出会うようになってから考え方は変わった。
鮮度が良くて質が良いカツオは全く臭くないし、薬味なんてなくても普通に食べられる。
実際にカツオ嫌いな方に美味しい個体を黙って食べさせてみると、カツオだとは分からない方も結構いるくらいだからね。
だからカツオは臭い魚ではなく、しっかりと良い個体を見つけることができれば「非常に旨味があって美味しい魚」だということは知っておいてほしい。
腹・体の張り具合を見る
丸の状態(捌いていないそのままのカツオ)の鮮度を見る場合、まずは腹・体の張り具合からチェックするのが無難かな。
基本的に鮮度が良いカツオはシャキッとした弾力があり、体を触ったときにしっかりとした反発力がある。
特に腹回りは鮮度が落ちやすいので、おなかの周りの状態を見るのも鮮度チェックには役に立つ。
カツオは小型のイワシやシラスなど、比較的傷みやすい餌を食っていることが多く、水揚げから時間が経つと腹回りから徐々に身が緩くなっていくからね。
鮮度が落ちた個体は腹回りや体を触ってみても、フニャフニャしていて弾力が乏しくなる。
背中の色・触り心地をチェックする
カツオの背中の色は鮮度によって多少色や触感が変化する。
鮮度が良いカツオはこの画像のように、背中に濃いブルーカラーが走っていたりする。
鮮度が落ちると蛍光色のような美しい青色は目立たなくなり、黒っぽい地味な色になりやすい。
また、背中を触った時に背びれの周りがザラザラっとしているものの方が比較的高鮮度だ。
※ただしこれらは水揚げされた時の扱いなどによって多少変わってくるから、一概にいうことはできないけど。
基本的に丸の状態のカツオはこんな感じで鮮度を見ることが多いが、最終的には捌いてチェックしないとわからないのがカツオの難しいところだ。
ここから先は捌いた状態での鮮度の見方について、順番に紹介していこう。
血合い・皮目の色を見る
これはカツオの鮮度チェックにおいて、一番わかりやすい場所かもしれない。
簡単に紹介すると、
- 血合いの色:鮮やかな赤→茶色・くすんだ色に変化
- 皮目の色:ピンク系・または濃い赤→茶色・黒っぽく変化
こんな感じで、基本的には鮮度が悪くなると茶色っぽい色へと変化していく。
実際に捌いたカツオでチェックしてみよう。
このカツオは鮮度が良い個体だが、血合い・血合いの色ともに鮮やかな赤い色をしている(実際の色と画面上の色とでは少し違うのでわかりにくいかもしれない)。
ちなみに血合いというのは体の中心付近の身の色が濃い場所のことで、中骨の周りのこと。
このカツオも非常に良いカツオで、鮮度も良好。白丸で囲った部分が血合いだ。
これが鮮度が悪くなっていくと・・・・
こんな感じで、血合い・身の色ともに黒っぽくなって変色している。
これは市場に残っていたカツオなので典型的な例だが、極端なものはこんな感じになる。
こうなってしまうと血合い周辺や表面は生臭さが出てしまうので、品質としてはかなり落ちる。
表面を大きく削ればギリギリ食べられるかもしれないが、ここまで鮮度が落ちてしまうとよろしくない。
皮目の状態を見る
皮目の色は血合いと同じく、鮮度の影響を受けやすい場所になる。
このカツオは鮮度が落ちた個体だが、皮と身の間を見てみると「灰色っぽく変色している」のが見える。
鮮度が良い個体はこのようにはならず、皮目まで赤やピンクの鮮やかな色が広がっている。
血合いや中心付近の身は変色していないが、鮮度低下が始まっていることが分かりやすい例だ。
刺身・切り身の断面を見る
刺身や切り身になっているカツオをチェックする時は、身や血合い・皮目の色以外にも表面のギラつき具合というのを見てみると役に立つことがある。
鮮度が落ちたカツオを切ってみると、表面に「ガソリンなどをこぼした時のような虹色っぽい色」が広がりやすい。
これは鮮度がそこまで悪くない個体にも見られるので優先度としては低くなるが、表面がかなり強くギラギラと光っているものは避けた方が無難。
本当は画像で紹介できれば良かったんだけど、微妙な違いすぎて写せなかった(-_-;)
脂の乗ったカツオの目利き
次は脂の乗ったカツオの見分け方を紹介しておこう。
カツオの脂の有無は好みの差がある
一般的な魚の場合は脂の乗った個体の方が好かれることが多いが、カツオの場合は「脂がのっていない個体の方が好き」という方もいる。
さっぱりとしているカツオが好きな方は、「脂がのっていないものの方が癖がなくて食べやすい」と感じることも多いので、脂がのっているから一概に美味しいわけでもないのがカツオの奥深さでもある。
脂の乗った個体ほど鮮度の低下が早い
カツオに限ったことではないが、脂の乗った個体の方が脂が酸化しやすく、鮮度低下が早く起きやすい。
逆に脂が全くのっていないカツオは比較的劣化に強く、酸味や生臭さが目立ちにくい傾向がある。
カツオの脂は皮目を見る
カツオはよほど脂がのってこないと、身の真ん中まで脂が入ることはない。
基本的にチェックするのは、皮目と皮目付近の身になる。
実際に脂の乗ったカツオを見てみると、
こんな風に、皮目を中心に鮮やかなピンクっぽい色が広がっているのが分かる。
このくらい脂がのっている個体は非常に良質になり、鮮度と身質が良ければ最高に美味い。
一方で脂がのっていない個体の場合は
こんな感じで、表面と皮目の身の色がほとんど変化していないのが分かる(鮮度は悪くないが)。
そして脂がのった個体の皮を引いてみると・・・
こんな風に、皮の下には脂の層が広がっている(めっちゃ美味そう・・・)。
一方で「そこそこ脂があるレベル」のカツオの皮を引いてみると
こんな具合で、多少の脂感はあるものの1枚目のカツオよりも脂の層が薄い。
ちなみに、鮮度が低下すると脂が入っている皮目と皮目付近の身の色は一気に色がくすみ、鮮度低下が早く進む。
美味しいカツオを見つける
カツオは鮮度や脂も美味しさを決める要素だが、身質自体もかなり重要。
カツオは個体個体によって身の硬さや酸味の強さなどが違い、鮮度が良くて脂がのっていても、癖が強い個体は美味くない。
程よく弾力のある個体がベスト
カツオは鮮度が良い個体の方が美味しいが、身がしっかりしているからといって身がカチカチに硬いものを選ぶと失敗することがあるから気を付けたい。
カツオにはイシガツオといって身がカチカチで刺激的な味がするメッチャ不味い個体が存在する。
これを避けるには身がしっかりしていても弾力がある個体を選ぶのが重要で、モチモチッとしたものがベストだ。
腹のカツオ虫を見る
腹を欠いていない状態のカツオを目利きするのであれば、結構役に立つのがカツオ虫の有無だ。
カツオの腹の部分には白い卵のようなカツオ虫(テンタクラリア)がかなり高確率で潜んでいる。
身が硬くてまずいイシガツオにはどういうわけかこのカツオ虫が付きにくく、全くついていないものなどは避けた方が無難。
実際に私がカツオを捌く時、優先的に味を見ていくのはカツオ虫がある程度多くついているものになり、カツオ虫が多い個体の方が身に弾力があって美味しい個体の割合が高いと感じている。
カツオの大きさ
カツオは大きさによって風味が変化しやすい傾向がある。
基本的にカツオは味を求めるなら2kg~4kg程度までがベストで、5kg以上になってくると味が薄くてさっぱりした味わいの個体が多くなる。
これにはメリットとデメリットがあり、
- 小型の個体:美味しい個体と外れ個体の風味の差が激しい
- 大型の個体:基本的に脂が薄くてさっぱりしている。旨味は薄くなるが、外れ個体が少なくなる
ざっくり紹介するとこんな感じで、小型~中型のカツオの方が美味しい個体に当たればいい思いができるが、外れ個体も出やすいってこと。
逆に7g・8kgやそれ以上のカツオになってくると、超さっぱりした赤身という感じで、不味くもないし美味しくもないものが目立つ。
ちなみに私が過去に捌いたカツオで一番大きいのは15kg後半だが、これくらいの大きさになってくると味わいに当たりも外れもないね(笑)
骨折などによる血
カツオは水揚げ時の衝撃などにより、身の中に血が入っている個体がある程度の割合で存在している。
このカツオは典型的な血が入ったカツオだが、カツオの血は他の魚よりも身の中まで入りにくい傾向がある。
だから節で売っているカツオに多少血が入っているからといって極端に嫌がる必要はなく、表面を包丁で削れば中の方は綺麗な状態であることがほとんどだ。
この画像のカツオのように、血が入っている場所がハッキリしているものは、包丁で身を少し削れば美味しい個体が比較的多いかな。
一方で全体的にぼんやりと血が入っていたり、血が入っている周辺の身が茶色く変色していたりするものは、生臭さが目立つ可能性が高くなる気がする。
最終的には魚屋さんに聞くのがベスト!
カツオの鮮度や脂の乗った美味しい個体の見分け方について紹介してきたが、カツオは個体差が非常に大きく、最終的には食べてみないとわからない。
実際に私は毎日カツオを捌いているが、ある程度の良し悪しは見た目で判断できる。
しかし、最終的には食べてみたら見た目は良さそうでもダメな個体がいたり、逆にちょっとダメそうでも食べてみたら予想以上に美味しいカツオもいたり・・・。
なので実際に料理屋さんや店頭に出す分は全て味見をしてチェックしており、お店でカツオを買う時はスタッフの方にちょっと聞いてみるのがベストだ。
産地や日・鮮度などによってカツオの味には癖・傾向があったりするので、さっぱりした個体が多い時もあれば、逆に濃厚な味の個体が多い日もあったり。
それらは見た目だけで100%判断するのは実質不可能なので、店員さんに聞いてみると良いね!
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