さて、今回はお手軽にリールをチューニングできる箇所でもあり、メンテナンスできる箇所でもあるリールのハンドルノブのベアリングについて。
ハンドルノブのベアリングをパーツの劣化に合わせて交換、メンテナンスしたり
ベアリングが入っていない機種にはベアリングの追加を行ったり。
ハンドル周辺のベアリングは潮を被ったりしやすいので、劣化もしやすくて巻き心地の悪化などに繋がりやすいパーツでもあります。
今回はそのハンドルノブのベアリングについて、
必要なベアリングのサイズなども少し詳しく解説しながら、実際にメンテナンスを行っていこうと思います(*^^*)
初めての方でもゆっくり確実にやれば難しいことはありませんのでご安心を。
簡単、お手軽にカスタマイズに挑戦してみるのも良いですね!
なお、ハンドルノブ以外のスピニングリールの日常メンテナンスについては
「スピニングリール メンテナンス方法の基本」をご覧ください。
リールのハンドルノブのベアリングを追加・交換・メンテナンスしよう!
前提:あなたのリールはハンドルノブが分解できる?
最近は殆どのリールでハンドルノブの交換ができるようになっています。
もし分解できるかわからない時は、カタログを確認してみるとハンドルノブがAタイプとか書かれています。
このように適応パーツが書かれているものは分解することができます。
また、手っ取り早いのはハンドルノブのキャップをマイナスドライバーや金属製の針金タイプのクリップを伸ばしたもの等を使って開けてみる。
内部の芯がネジでとまっているものは、取り外して分解したり、ベアリングの交換や追加、ハンドルノブの交換が可能です!
打ち抜き構造になっていて外れないものは、残念ながら取り外しできない。
分解出来ないものは、主にエントリークラスのリールに多いですね。
リールメーカーとハンドルタイプによってベアリングのサイズがある
まず初めに、リールのハンドルノブに使われているベアリングの大きさには規格があって、
メーカーによっても違いがあれば、リールの大きさなどによっても規格が違う。
そうなると使用されているベアリングの大きさが変わってきたりするので注意が必要ですね!
今回は最もメジャーであるシマノとダイワの例を挙げながら説明しますね。
中小型リールであるシマノAタイプ、ダイワSサイズのベアリングは規格が同じだ!
大体シマノのスピニングリールでいうところの4000番位まで、ダイワでいうところの3000番位までは両社が同じ大きさのベアリングを使用している。
上の画像でいえば、ステラもイグジストもハンドルノブのベアリングの規格は共通。流用できるというわけです。
ダイワの場合はマグシールドという防水、防塵機能が付いたものが使用されているものがあるので、自分で分解するとその機能が失われるので注意。
規格が異なってくるのがシマノでの代表例がステラSWや、ジギングリールのオシアジガーなどをはじめとしたBタイプと呼ばれるもの。
ダイワではLタイプと呼ばれる規格があり、これもベアリングのサイズが違ってくるので注意。機種としてはソルティガなどが該当しますね。
国産リールのハンドルノブに利用されているベアリングの規格をまとめておきますので、よろしければご参考に。
シマノAタイプ・ダイワSサイズ→内径4mm、外径7mm、厚さ25mm ×2個。
シマノBタイプ→内径5mm、外径9mm、暑さ3mm ×1個、内径4mm、外径9mm、厚さ3mm ×1個。※ハンドルノブのベアリングは1個づつサイズが違うから注意!
ダイワLサイズ→内径5mm、外径8mm、厚さ3mm ×2個。
また、シマノのAタイプの場合
ハンドルノブのベアリングとラインローラーのベアリングのサイズも同じ!
ですからベアリングの流用ができるので、ベアリングの追加や交換を自分で行う時に覚えておくと便利ですよ。
純正のベアリングを使うか、社外の工業用を使うか?
ベアリングの交換や追加のカスタマイズを行う場合、ベアリングはどれを使えばいいのか悩むところですよね。
ちなみにシマノのSAR-Bを購入する場合は
1個1200円。2個買ったら2400円。
ベリーエクスペンシブだ!
そこで、私の場合はハンドルノブのベアリングのみならず、ラインローラーのメンテナンスの際などにも工業用の国産ステンレスベアリングを購入して使っている。
コチラなら・・・
アマゾンで購入した場合、4個で1000円もしない。
色んなリールをカスタムしたい方等には10個入りなどのセットもあるのでお得ですね。
10個で2500円しない。本当ならこの位でベアリングって作れるんでしょう。
これでも日本製のベアリングメーカー、ミネベア製ですから安心です。
ハンドルノブのベアリングにはオイル?グリス?
良く疑問に思うと考えられるのが
ハンドルノブのベアリングにはオイルを使うのか、グリスを使うのかといった事ではないでしょうか?
正直、私はどれも試してみましたが
どれも間違いではないし、正解でもない。
つまり適材適所で、みなさんの使い方によるということですね!
市販されているアイテムって、大きく分けると3種類ある。
具体的には左から
オイル、スプレー式グリス、チューブやケース入りのグリス。
これらの違いって大きくざっくりと言うと、粘度が違う。
オイルを使う時
基本的に、粘度が低いオイルをハンドルノブのベアリングに使用した場合、ハンドルノブの回転は軽くなって良く回る。
しかし、欠点としては揮発性や水洗いメンテナンスした時に流れやすい事、それによって海水などに対する防錆性は若干落ちること等がある。
つまり、向いているシチュエーションとしては淡水の釣りやライトソルトゲームなどの繊細な釣り・海水で使用する際にも波などを被りづらい港湾部の釣り等。
こういった場面ではオイルを使って注油して使うといいと思う。
高価なカスタムパーツメーカーのものもありますが、私の場合はメーカーの純正品などで十分満足していますし性能の低さなどは全く感じません。
グリスを使う時
グリスと言っても、スプレー式のグリスの方が一般的には粘度が低めに設定されていて、チューブなどに入っているグリスは粘度が高い傾向があると感じる。
スプレー式のグリスはちょうど中間の粘度をしているから、様々な状況で使用することができますね。
私の場合、淡水の釣りやライトソルト用のリールにはスプレー式のグリスを使用しています。
オイルでも構わないんですが、このあたりはやはり使用頻度が影響します。
使う機会が多くなる場合、グリスを使用した方が保護膜が長持ちしますからね。
そして、サーフの釣りやオフショアの釣りの際に使うリールにはチューブに入ったDG-06を使っています。
こちらの方が粘度は高くなるので、軽やかな回転という面ではオイルやスプレー式のグリスには1歩劣ります。
しかし、一度グリスアップすれば長時間グリスが切れることもなければベアリングの劣化もかなり防ぐ事ができますからね!
ベアリングはステンレス製を。しっかりグリスアップしたいときには工具があると便利
気を付けなければならないのが、ベアリングには安価なスチール製のベアリングとちょっぴり高価なステンレス製のベアリングがあること。
釣りで使う場合、水に浸かったり潮風にさらされるので錆びやすいスチール製のベアリングはやめておいた方が良い。
買うならステンレス製にする事!
そして、シールドと言ってゴミの侵入などを防ぐフタが付いているベアリングと、中のボールがむき出しのオープンタイプがある。
オープンタイプの方がオイルやグリスなどを挿しやすく、メンテナンスが容易だがゴミが入りやすい。
悩んだ時はシールド付きを購入しておけば大丈夫。
注意すべきはシールド付きの場合、粘度のある程度あるグリスなどを挿したいとき。
この時、しっかり圧入れしないと内部にまでグリスを浸透させるのが少し難しい時がある。
このような時は、グリスアップ用の工具を1つ持っておくと大変便利で簡単にグリスアップができますぞ!
メーカー純正のベアリングを使うか、工業用のベアリングを少しでも痛んだらどんどん交換していくスタイルで使っていくか・・。
私の場合は釣りに行く頻度も高く、いくら良いベアリングを使ってもそのうちダメになってしまうので後者。
このあたりは個人の好みにもよるので、どちらが良いとは言わないでおきましょう(笑)
実践!ハンドルノブのベアリングをメンテナンスをしよう。
さて、それでは実践編へと入っていきます。
今回は普段サーフの釣りなどで活躍しているシマノステラ4000XGのハンドルノブを分解し、メンテナンスをしてみます。
今回はサーフなどで使うことの多いリールですから、波しぶきを被ったりすることも多い。
そこで、画像1番右のチューブ入りのグリスを使って作業を行います。
①ハンドルノブを分解
まず、ハンドルノブのキャップを専用の工具やマイナスドライバー、クリップの先を伸ばしたもの等を使って開ける。
後は内部のネジを外して、順番がわからなくならないように綺麗に並べていこう!
中央のハンドルノブの両サイドにあるのがベアリングになります。
今回は初めからベアリングになっていますが、中級機種などの場合は
ココにプラスチック製のカラーというベアリングの代わりのパーツが組み込まれていることが多い!
ベアリングの追加チューンを行う時は、ここをベアリングにすればOKだ。
ベアリングのサイズですが、先程解説した通りになりますから間違えないように!
②ベアリング及び部品を洗浄
次に汚れている各パーツを綺麗にメンテナンスしていく。
ベアリング以外はパーツクリーナを使ったり、アルコールなどを使ってふきあげていけば、特に難しいことはない。
今回はベアリングの交換も視野に入れてはいたが、
分解したところまだ劣化は酷くなかったので洗浄&グリスアップして再び使用することにしました。
ベアリングの洗浄ですが、これも先程紹介したアイテムがとても役立つ。
こんな風にベアリングをセットして蓋をする。
そして、パーツクリーナーを上から噴射すると、内部のグリスや汚れが落とせるという仕組みだ。
実際にクリーナーを使い、ティッシュでベアリングをふき取ってみると・・・
古くなったグリスや汚れカスがこんな風に出てきた。
そして少し丁寧に表面をティッシュなどで綺麗にして、少し放置してクリーナーが揮発するのを待つ。
③各パーツを注油して組み上げる
ベアリングの追加や新品への交換を行う場合はベアリングの洗浄が無いので、少し作業自体は簡単になる。
今回はチューブ式のグリスを使用するので、オイルとは違ってしっかりとベアリングのシールドの中までグリスを入れてあげる必要がある。
ここで使うのもまたおなじみとなったこのアイテム。
圧入れ用の蓋のようなものが付いているので、
そこにグリスをちょっと多めにつけて注射する要領でベアリングの内部にグリスをしっかり浸透させる。
各パーツに隙間があかないように注意しながら、上から押し付ければグリスアップができる。
とにかく錆びたりするのが一番嫌だという方は少し多めにグリスを付けておいて、組み上げる時に余分になった部分を取り除けばいい。
綺麗に取り除きすぎると防錆性が落ちるので、少し余分があるくらいでOKですよ(*^^*)
そして、分解した時と逆の手順で組み上げていけば元通り、ベアリングの洗浄とグリスアップが完了しました。
初めてハンドルノブを分解してベアリングを追加したり、交換したり、メンテナンスしたりするのは気が引けるかもしれません。
しかし、使用されている部品は多くは無いので、一度やってみれば仕組みも分かって次からはより手早く、スムーズにできるはずですよ!
ハンドルノブのガタの調整
+αのことにはなりますが、ハンドルノブを交換する方へ。
ハンドルノブを交換するとき、パーツの微妙な精度の違いによってワッシャーを使ってガタの調整をする必要が出てくる時があります。
ガタが全くなくなってしまうと、ハンドルノブに抵抗が掛かってしまいスムーズに回らなくなります。
こういった時はハンドルノブの芯に付属されているワッシャーを外して調整をします。
基本的に、ワッシャーはベアリングの内側、ハンドルノブの付け根側についていることが多く、
取り外す際に2個のベアリングやプラスチックのカラーにそれぞれワッシャーが付いている際は、
先端側から優先して取り外して調節してみてください。
一方、ガタが少し大きくなる場合はワッシャーを追加してみます。
この時は逆の事。
ハンドルの付け根側のベアリングにワッシャーを追加する。
つまり、初めの1枚を追加する場所はノブの芯の一番内側になるということ。
上の画像の通りになります。
今まで色々な位置にワッシャーを追加してみたりしたのですが、
場合によっては先端側のベアリングにワッシャーを追加した場合、若干ノブの回転が重たくなったことがありました。
ほんのちょっとした豆知識ですが、おぼえておいて損はないと思ます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、ハンドルノブのベアリングの追加や交換、メンテナンスについての基礎基本を少し詳しく解説してきました。
リールのメンテナンスは一見すると少し難しそうに見えますが、実際はそこまで難しいものではありません。
自分でできるところは自分でできるようにしておくと、ちょっとした不具合の際にもすぐにメンテナンスして快適なリールの状態に復活させることができるようになります。
今回の記事を参考に、リールのメンテナンスやカスタマイズに挑戦してみてはいかがでしょうか?
それでは、良い釣りを!