釣り竿の値段 高い竿と安い竿の違いはどこなのか?

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さぁ、今回のお話は「値段が高い釣り竿と安い釣り竿。その違いはいったいどこなのか?」といった事について、少し詳しくお話をしていこうかなと思います。

少し前にこのような質問を受けたのですが、何となくの違いは感覚的にわかっていても説明するのって結構むずかしいジャンルの話題になってきます(-_-;)

ですのでちょっとわかりにくい部分があるかもしれませんが、なるべーくわかりやすいように解説していきますのでご了承を!

釣り竿って釣具屋さんに行って色々眺めてみると、1000円しないようなお手頃プライスのものから数万円するもの、高いものでは10万円を超えてくるようなリッチなものまで色んなアイテムが有る。もちろん釣り竿の長さやターゲットとする魚の大きさなどによっても価格帯の幅は変わってきます。

その中でも、「なぜ同じ魚を狙うための似たような釣り竿であっても価格の違いが生まれてくるのか?」今回はその点をちょっと理解してもらえたらいいかなということで話を進めていく!

今、手元のすぐ届くところにあるロッドを例に挙げてみると・・・

この竿はどちらも2000円しないくらいのロッド。

こちらはいわゆるハイエンドとかっていわれるような釣り竿。竿の長さなどにもよるけど大体5万~10万近くするものまである。ブラックバスを釣るためのものやスズキを釣るもの、船で使うもの等色々あります。釣りをあまりしない方からすると、高いものは思っている以上に高価かもしれない・・・(-_-;)



釣り竿の値段の高い&安い。違いの要点!

まずは細かなめんどくさい説明をする前に、簡単に違いをまとめておきますね。

基本的に、高い釣り竿になるほど「軽量・高感度(魚のアタリなどを察知しやすい)・高反発(魚を引き寄せたり仕掛けを投げ込む力が優れている)・使い心地が良い竿」になる。

もう少し具体的に見ていくと

  • 釣り竿の素材&グレードの違い
  • ロッドをより使いやすくする補強や製法の有無
  • ガイド(糸を通す部分)の部品のグレード
  • デコレーションや装飾の違い
  • ロッドの作成に必要となる手間

釣り竿の価格の違いというものは大体こんなところに起因していることが多いかな。

当然値段が高いロッド程細かいこだわりや先進の技術などがふんだんに使われていたり、より高価な素材が使用されていることが多くなるわけ。それでは、その違いについてもう少し具体的に話を進めていきますね(*^^*)

釣り竿の価格の違い①使用している素材の違い

カーボンシートの質

釣り竿を作る際、基本的にはカーボンやグラスと呼ばれる炭素繊維やガラス繊維をシート状にしたものを芯に巻き付け、熱を入れることで釣り竿の本体(ブランクス)が作られる。このシートにはカーボンなどの繊維とつなぎとしてのレジン(樹脂)が入っている。

高価格帯の釣り竿には、より繊維や樹脂の入り方にムラの無い高品質なシートが使用されていたり、樹脂を極限まで少なくしたシートを使用してロッドを作り上げることが多いですね。

なぜかというと、繊維を束ねる役目をする樹脂は多くなると重みが出てしまったり、シートをより多く巻かないと必要な弾力(反発力)を出すことが出来なくなるからです。イメージとしては炭素繊維などは筋肉、樹脂は脂肪といった感じが分かりやすいかな。

より反発力が有って軽いシャキッとした扱いやすいロッドを作るには、より繊維の密度の高いシートが有効だというわけ。この辺りの使用する素材の差が価格の違いに表れてくるんですね。

で、この素材のグレードの差は意外なところに現れたりすることが有ったり・・・。

これはロッドのブランクスの先端部ですが、実は折れてます。私がロッドの改造をしようと思ったら、傷が入っていたようであっさりと何の衝撃も無く・・・(´;ω;`)

いわゆるハイエンドロッドと呼ばれる5万円程するロッドになります。見てほしいのはこの断面。変にささくれなどが無く、ポキッと綺麗に折れていますね。これは質のいいムラの少ないカーボンシートを使っているから、折れる時は綺麗に折れるらしい(ロッドメーカーの営業の方に聞いた)。

逆に繊維にムラのあるものは強度にもムラができるわけなので、強い部分と弱い部分の差が出来やすくなる。そうなるとロッドが折れた際などにメキメキと滅茶苦茶に折れたり、折れた断面が汚い仕上がりになるらしい。確かに20万以上するような鮎釣りの竿が折れたりすると、断面がスパッと綺麗に折れていることが多い。少し高めですがいい勉強をさせてもらいました。

弾性の違い

主に竿の重量や感度、ブレの無いシャキッと感などに直結してくる部分になるのがロッドの反発力。

釣り竿に使用されることの多いカーボン素材ですが、簡単に分類すると低弾性カーボンと高弾性カーボンに分けることができます。厳密には中間的な特性を持つ中弾性カーボンというものも存在する。これらは反発力が違うわけですが

基本的に安価なロッドには低弾性寄りの素材が多く使われ、高価なロッドには低弾性や中弾性の素材に合わせて高弾性の素材などを組み合わせて使用することが多いかな。

低弾性と中弾性の説明を簡単にするとこんな感じ。

  • 低弾性カーボン:しなやかで負荷が掛かった時に曲がり込む性質がある。反発力のあるロッドを作ろうと思ったらシートを厚く巻く必要がある。
  • 高弾性カーボン:シャキッとして反発力が強い為、同じ反発力を持つロッドを作ろうと思ったら低弾性カーボンよりも少ない厚みでロッドを作ることができる。

つまり、高弾性カーボンをうまく使うことで強い反発力を持つ、軽くてシャキッとしたロッドが作れるということに繋がる。これはヒットした魚を引き寄せる力や、仕掛けを遠くに力強く飛ばすことにも繋がってくる。

欠点としては高弾性の素材を厚く巻いてロッドを作ると、反発力が強すぎてしまってロッドがカチカチになってしまうこと。ですので高弾性素材を多く使ったロッドは断面が薄くなることが多い。

つまり、無理な力や衝撃を与えて傷を付けたりすると破損しやすいというデメリットに繋がるということもあるというわけ。

一昔前のハイエンドロッドは高弾性素材を前面に推した軽量性や感度重視のロッドが多かったですが、最近は軽さや感度などに合わせて折れにくい強度も持ち合わせた素材をうまく使って作られたものも多くなってきている感じかな。

補強や新製法の有無

最近はミドルクラスと呼ばれる中価格帯以上のロッドになると、折れにくさやブレにくさ(仕掛けを投げた後のロッドの曲がりの収束の早さ)などをアップさせたりする補強などがロッドに入っていることも多い。

この画像の様に、ロッドのブランクスにらせん状の模様が有るものがあったりする。これはブランクスの表面に薄いカーボン製のテープをテンションを掛けて巻きあげることでより強く、ブレの無いロッドになるような補強が入っているんですね。こういった釣り竿の性能を向上させる技術もある程度の価格帯になってくると使われるようになってきますが、見せかけだけの飾り的なものもあるので要注意。

他にも、最近はナノカーボンと言って「高弾性でも折れにくい、シャキッと感とどこまでも曲がり込むような強さ」を両立した新素材を使用したロッドなんかもハイエンドモデルを中心にして増えてきていますね!

こういった最先端の製法がまず最初に使われるのが、いわゆる高価格帯の釣り竿。その後段々と低い価格帯の釣り竿にもそういった技術が広まっていくパターンが多いです。

ロッドに使用するカーボンシートの巻き方等だけでは出すことのできない調子や強度などを、先進技術や補強などを適切に行うことで釣り竿はより一層パワーアップする。価格の高いロッドはこのような+αが適材適所で行われるという違いがある。

このほかにも、最近は穂先の部分に形状記憶合金製の素材を使用したチタン合金製の穂先を搭載したものなんかもありますね。釣り竿って思った以上に先端技術が使われているんです。

ガイドの違い

リールを付けて使用するロッド、いわゆるリール竿にはリールから出たラインを通す穴(ガイド)がロッドに取り付けられています。エントリーモデルと言われるような、数千円以下のロッドの場合はコスト削減のためにガイドの数自体が少ないことも多いです。しかし、最も大きな違いはこのガイドに使用されている金属製などのフレームとリングの素材。これらがロッドの値段に合わせて変わってきます。

基本的に高額なものほど錆などに強く、軽量でラインに傷が付きにくい素材へとグレードアップしていきます。

ガイドフレームの違い

ガイドフレームに関していえば、価格が安い順番から

メッキなどの金属→ステンレス→チタン→カーボン(1部のメーカーのみ)素材へ。

こんな順番で変化していきます。基本的に価格が高いほどより軽量で錆に強い素材になっていきますね!

カーボン製のガイドフレームは見た目が特徴的ですが、それ以上に軽量で全く錆びない事、硬いのでロッドの感度が上昇するなどのメリットもあります。しかし、一方で地面にぶつけた時などに割れやすいなどと言いた特徴もある。

ガイドリングの違い

続いて糸が通る部分、輪っかの素材について。ここに使われる素材もロッドの値段が高くなるほど釣り糸が傷になり難い素材などへと変わってきます。

値段が安い方から順番に

樹脂製→ハードリング→アルコナイト→Sic→トルザイト・コバルト(1部メーカーのみ)・シリコナイト(1部メーカーのみ)

等へと素材が変化していきます。

ガイドの素材というのは意外と重要になってくるもの。ナイロンやフロロカーボンラインなどといったいわゆる一般的な半透明の釣り糸を使用するのであればどのガイドでも直接的な影響は少ないのですが、最近使用されることの多いPEライン(撚り糸)を使用する際は、ハードリング以下のガイドでは使用頻度が高いとガイドが削れてきたりすることが有るので注意。

またPEラインはスレや熱に弱いので、魚がヒットしてテンションが掛かった状態でガイドと擦れた際にリング素材の放熱性が低いと、その熱でラインが弱くなったりすることもある。

ですのでPEラインを使用するのであれば、アルコナイト以上の素材を使用したロッドを選んだ方が無難だと言われますね。

これは金属メッキのガイドフレームに良くわからない素材のリング(笑)

うなぎ釣りなどの遠くに投げる必要が無く、そこまで強い力が掛からない釣りなんかで活躍しているロッドです。

一方、ハイエンドのトルザイト製のリングはこんな感じ。

リング素材がギリギリまで薄く作られており、軽量化が図られています。フレームも軽量で錆びない、しなやかなチタンフレームになっています。エントリーモデルのロッドとハイエンドのロッドはガイドが見た目的にも大きく違うことが分かります。



釣り竿の価格の違い②その他の部分

装飾のパーツ

高価なロッドと安価なロッドの違いとして、魚を釣り上げる性能に関わる素材のグレード以外にも差は存在します。最もわかりやすいのは装飾パーツの有無やその質などかな。

高価なロッドになるほどカッコいい金属製やカーボン製のデコレーションパーツが多く使用されていたりして、高級感を醸し出しているアイテムも多い。

グリップ(持ち手)の部分にこんな風にカーボン製のパーツや金属製のリングが多く使われていたり・・・。正直言って直接的に釣果に影響することは無いと思われますが、魚釣りは趣味の遊びでもありますからこういった見た目の良さっていうのも購入欲をそそられる大きな要素になったりしますよね。

ロッド作成に掛かる手間の違い

最後に、これはちょっと特殊な例になってくるかもしれませんが、ロッドを作り上げる際により多くの工程が必要とされるロッドが存在します。

例えば、船からの餌釣りなどに使用されるような「総巻き」と呼ばれるようなロッドなどの場合。

例えば、この青と赤の船竿。この青い部分やゴールドの部分などの色は、塗料などを使って作られた色ではありません。具体的に言うと、青やゴールドの糸をブランクスに巻き付け、ウレタンなどの塗料でコーティング。そしてやすりで研ぎ出し・・・・。これらの作業を何度も繰り返し、仕上げて作られたロッドなんですね。

この竿は私が作ったもの(作らされた?)ですが、やってみるとわかりますが何度もコーティングやヤスリ掛けを行うので非常に手間が掛かります。その分独特な高級感と、ブランクスが糸とクリアコーティングで保護されているので傷に強く、非常に長持ちするロッドになるというメリットが有ったり。

船釣りに使用するロッドを専門で作っているメーカーではこのような総巻きのロッドを作っているところもありますが、基本的には価格が高くなります。こういった1点物の竿なんかは、必要な材料費よりも工賃の方が何倍も掛かっているというものですからね。

ちょっと例外的な感じですが、中にはこういったパターンもあるぞって言うことで。

ロッドの価格による違いまとめ!

釣り竿の値段の違いについては、大まかには今回紹介したような所が差になってきているというわけ!

基本的にはロッドは高くなればなるほど

  • 軽量
  • 高感度
  • 高反発
  • ブレの無い扱いやすさ
  • カッコいい見た目

等が高次元で手に入るようになってきます。そうはいってもやたら高い釣り竿が優れているかというとそういうわけでもなく、

入門用のエントリーモデルと中級クラス(大体2万円前後)の間には価格に応じて性能の差がハッキリ出ることが多いですが、それ以上になってくると2万円の竿と5万円の竿が一目瞭然な違いがあるかというとそういうわけでもないことが多い。釣り竿はある程度高くなってくると、ほんの少しの差で一気に値段が跳ね上がることが多いのが現実。実際の釣りで使うのであれば、中級機種以上のものであれば釣果に大きな差は出ないと思ってもいいくらいだと思う。あとはどれだけ細かな所にこだわるのか?といった部分になって来るかな!

ロッドの価格による違いについてはこれくらい覚えておけば十分といった所だと思う。釣具屋さんで今回紹介したような所の違いをチェックしてみると、何となく実感がわいてくるはず(*^^*)

それでは、今回はこの辺で。

また明日会いましょう!

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